市場は機関投資家や百戦錬磨のトレーダーが手ぐすねをひいて待ち構えています。ひとたび同じ土俵に立ったならばプロもアマも関係はなく、手加減はしてもらえません。下手すると根こそぎむしりとられることになります。
こうしたプロの投資家相手にどのように立ち回ればいいのでしょうか。考えてみました。
プロの投資家の原則を知る
まず、相手を知る必要があります。プロの投資家はどのようにやっているのか。推測ですが、おそらくはこんな原則があるのではないかと思います。
Q: 必ず一定以上の成果を出す
C: 必ずコスト(手数料)は最小化する
D: 必ずきまった納期に決済する
プロの投資家を会社員や営業の人に例えると、わかりやすいかもしれません。
営業の人は、いつも一定以上の売り上げをあげることが求められます。
小口のお客さんだけを訪問しても効率が悪いので、大口のお客さんを狙いにいきます。会社なのでコスト削減もうるさく言われます。
そして、毎月、売り上げを計上しなければいけません。1ヶ月で1年分稼いだから後は休むという営業さん、およびそれを認める会社は極めて少ないのではないかと思います。
強者と同じことをしてはいけない
次に競争に打ち勝つときの鉄則としてよく言われることは、強者と同じことはしてはいけない、ということです。
単純に言ってしまえば、先述の原則は資金が多ければ多いほど有利になります。例えば、同じ100円を稼ぐのも、1万円を使って稼ぐのと100万円を使って稼ぐのでは難易度が全然違います。資金を多くして目標利回りを低くすれば難易度も下がります。一方で大口割引などによるコストの削減も効いてきます。
この作戦において、プロ投資家が使っている資金量はアマチュアの個人投資家とはケタが違いますので、まったく勝負になりません。
プロの裏をつく原則
ということで、アマチュア投資家のための裏返しの原則をつくってみました。
Q:必ずしも成果をあげなくてもよい(よほどの自信がないときは手を出さない、チャンスに巡り会えたらラッキー)
C:コストはこだわりすぎない(手数料の安い信用取引ではなく、塩漬け可能な現物買いをし、取引を分割してリスクを減らす)
D:納期は守らなくてもよい(含み損は安易に損切りせず塩漬けにする、そのために地合いがよくとも高値では塩漬けできなくなるのでポジションを取らない)
こうしてみると、昔からよく言われている「休むも相場」は重要だということなのかもしれません。
十度闘って十度勝てる相手としか戦わぬこと
話は変わりますが、井上雄彦の漫画バガボンドで吉岡清十郎の父親が「(守るべきものがあるものは)十度闘って十度勝てる相手としか戦わぬこと」という遺言を残します。これを守らなかったために吉岡清十郎は武蔵と戦って命を落としてしまいます。
さすがに株取引で必ず勝てるというのはないと思いますが、1年に数回は高い確率で儲けられるであろう、という局面が巡ってくるかもしれません。そのときだけ、手を出すというのがよいでしょう。
相場を目の前にすると、ついつい株を買いたくなってしまいますが、自信があるとき以外は意識的に取引を抑えるメンタル・コントロールが大事です。
毎日、なんとなく手をだしてしまうと、必ずやどこかで大きな株価の下落にあってしまうことになります。機関投資家の失敗は会社の責任になるのかもしれませんが、個人の場合は守るべきもの、つまり財産を失うことになります。
余裕資金のみで運用する
ちなみにバガボンドの例、守るべきものがない武蔵の方が思い切りがよくて勝ってしまうという描写になっており、なかなか奥深い話です。
株取引に生活費をかけてしまいますと、どうしても守りに入ってしまって、含み損が発生したときにビビって損切りしてしまい、なかなか収益をあげることができません。一方で、遊びで少額でやっているとうまくいったりすることもあります。
損しても笑っていられるくらいの余裕資金で運用するのが大事だと思います。
まとめ
守るのはなかなか難しいのですが、初心者の投資家がプロの投資家に勝つための原則をつくってみました。私も今年はこれでやってみようと思います。