株は本当にゼロサム・ゲームなのか?

株がゼロサム・ゲームである、というのはよく言われる話です。つまり、損している人がいるからこそ、得している人がいるのだという意味です。

今まで納得してたのですが、最近、実は株の市場はゼロサム・ゲームではないと思うようになりました。

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株価が上がり続けると、みんな儲かる?

例えば、AさんとBさんという人が株取引をしていたとします。こんなことが起きたらどうでしょうか。

  1. Aさんが200円で株を買って、Bさんに210円で売りました。Aさんは10円利益を得ました。
  2. 次にBさんはAさんに株を220円で売りました。今度はBさんに10円の利益が入りました。
  3. 今度は、AさんはBさんに株を230円で売ります。Aさんに10円の利益が入ります。

こうしていくと、株価はどんどん上がっていきますが、二人はエンドレスで利益を得ることになります。

ここで事件が起きます。株価が500円になったところでBさんが株を買うのをやめてしまいました。Aさんは途方に暮れてしまいます。500円の株は紙くずになってしまうのでしょうか?

そんなときに、知らないCさんという人が、「490円でいいなら、その株買ってあげるよ」と言ってくれました。Aさんは喜んで手放します。

AさんとBさんは、懲りずに今度は空売りを始めます。

Aさんは480円で売りを建て、Bさんに買ってもらいます。Bさんが470円で売りに出したので、Aさんはそれを買って10円の利益を得ました。

今度はBさんが、Aさんが460円で売っている株を買って、10円の利益を得ました。

と、こんな感じで株価が下がりつつも、AさんとBさんはひたすら利益を得ていきます。

この話が成り立つならば、少なくともAさんとBさんは両方儲かっているのでみんなハッピーです。ゼロサム・ゲームではありません。

AさんとBさんにお金を出しているのは誰なのか?

ここで疑問が生じます。AさんとBさんが利益を出し続けてるのなら、そのお金を出しているのは誰なのでしょうか?

おそらくはお金の源泉の一つは企業だと思います。企業が持っている資金は、空売りしているトレーダーに削り取られていきます。株価が下がっている場合には、この説明が成り立ちます。

ただし、この説明は株価が上がり続けてるケースには成り立ちません。どこかで上がりすぎた株を買ってくれる人がいないといけないからです。すなわち、Cさんです。

Cさんの説明も複数あると思います。ひとつは、相場感が分からずに買ってしまう人です。すなわち、初心者の人たちです。ただ、さすがにこんな人ばかりいるとは思えません。

他の種類の人もいるはずです。たとえば、「この株はちょっと下がるかもしれないけど、長期的に見たら上がるだろうから気にしないよ。値下がりのリスクテイクするし。」と思って買っていく人です。すなわち、より長期で株の取引をしている人たちです。

より長期で取引している人が、お金の出所になる

短期、長期と言えば、株のチャートを見てみると一分足、五分足、一日足といろんな時間単位でのチャートがあります。一日足でまっすぐ伸びているチャートも、より細かく五分足などで見ると、上下の動きを繰り返していることがわかります。

つまり、五分足で値下がりを始めたチャートも、一日足で市場を見ている人にとってはまっすぐ上がっているように見えるのです。

さきほどの話に当てはめると、短期で取引している人にとっては株価が下がっていると見えていても、より長期で取引している人たちにはまっすぐ上がっているように見えるのです。これが、まるでマトリョーシカのようにより長期の取引へと引き継がれていきます。

つまり、短期で取引している人たちのお金の源泉は、より長期で取引している人たちだったりするのです。

他の要因も考える

ここで脱線します。

素人が株をやらないほうがいい理由で情報の格差というのがあります。

短期で株をやらないほうがいい、という人は、相場の情報はアマチュア・トレーダーよりも先に機関投資家などにまわるので不利だと言います。

長期で株をやらないほうがいい、という人は、実は機関投資家はインサイダーに近い情報を得ているので、きわどい情報を持っていないアマチュアは不利だと言います。

どちらが不利でしょうか?これについては、私もよくわからないので明確には答えは出さないでおきます。おそらくは、どっちもどっちだと思います。この話は短期と長期がどっちが不利か、という話は決定づけないでしょう。

一方で、IT知識及び素早い判断力は短期トレードになればなるほど必要とされると思います。デイ・トレーダーの人たちは何枚もモニターを用意して、相場とにらめっこしているからです。最近では、いろんなIT技術を駆使して自動で売買している人もいるかもしれません。この場合は、お年寄りやIT知識のない人はかないません。

まとめ

何が言いたいかというと、株を長く持ち続けるのはよっぽど格安で株を手に入れたと信じられないかぎり、やめたほうがいい、ということです。その株の今の値段が高いのか、低いのか、そんなのは誰にも分かりません。それにも関わらず、長期の取引では数多の上がり下がりを経て株を持ち続けなければいけないのです。見方によっては、短期で取引している人たちにむしられてるだけ、とも捉えられます。

一方で、短期すぎるのも、アマチュアには不利です。ほどほどに短期の取引がアマチュアには一番よい、ということでしょう。

また、株がゼロサム・ゲームであるか、そうでないかは捉え方の問題、という話でした。ステークホルダーやスコープの違いもあるので、ゼロサム・ゲームである、と言い切れるほど単純な話ではないのでしょう。

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コメント

  1. とおりすがり より:

    いくつか間違いではないかと思われる記述があったので
    指摘させていただきます。

    誤り①
    経済学のゲーム理論において、株式市場は非ゼロサムゲームの代表です。
    上げ相場では株式を保有している人は皆が得をします。
    かといって株式を手放してしまった人も、上昇相場に乗れないだけで、
    べつに何か損失を被る訳でもなく金融資産に変動はありません。
    一方下げ相場では株式を保有している人は皆が損をします。
    もっとも解りやすいのが倒産です。皆の資産がパァになります。
    経済学における代表的なゼロサムゲームは外国為替取引です。

    誤り②
    上げ相場での株買いと下げ相場での空売りの話をされて、
    その損失を長期保有している人や、ましてや企業が払っていると
    いう解釈は間違いです。詳細な要素については別途後述しますが、
    AさんやBさんも現実では株買い後に株価が下がることもあります。
    もし説明のためにそのような話をされているのであれば、
    株価が上がる前に株を買っておけば儲けられる。
    株価が下がる前に株を売っておけば儲けられる。
    ただそれだけです。どの株が上がりそうかは場合によっては
    専門家には判らず、株の素人にわかることもあります。
    例えば注目の商品がヒットしそうか失敗か等。

    誤り③
    空売りはそもそも誰かの株を借りないとできません。
    それは個人投資家であろうと証券会社であろうと同じです。
    では何故株を貸してくれるのかというと空売りする人が
    貸株料を払ってくれるからです。株価が上がろうが下がろうが、
    持っているだけで貸株料を払ってくれるうえに、
    契約によっては配当金まで受け取れるのです。
    確かに下げ相場では株自体の価値が減少していますが、
    長期保有なら株価が持ち直した時点で売れば良いだけです。

    誤り④
    長期保有した場合、その間の株の上げ下げは全く関係ありません。
    空売りにしても勝手に短期取引者がマネーゲームをしているだけで、
    貸株料を払ってくれるメリットしかありません。
    さらに配当や株式優待などのインカムゲインも期待できるわけで
    仮に買いと売りの価格が同じでも資産は増やすことができます。
    さらに補足しておくと短期取引ではキャピタルゲイン(というか
    相場の波)で勝負しないといけない上に、毎回手数料も払う
    必要があります。さらに空売りともなると信用取引の手数料まで
    かかります。そのうえで利益を出そうとすると、それこそ相当の
    腕前がないと証券会社や機関投資家にかなわないと思います。

    • 猫かぶ より:

      コメントどうもありがとうございます。

      せっかく参考になるご意見を書いていただいたのにもかかわらず、反映させるのが遅れてしまってすいませんでした。