ディープラーニングで株価が予測できるのか?

昨年あたりから、ディープラーニングという技術が流行っています。

ディープラーニングとは、かいつまんで言ってしまえば、昔からある機械学習の分野のひとつで、ニューラルネットワークという人間の脳を模した多層構造からなる人工知能のアルゴリズムのことです。

学習するためのデータを大量に与えれば、うまいこと分類してくれるようになってくれるのですが、なぜうまくいくのかは実は分かっていません。やってみたらうまくいった、に近い技術だと思います。

一番有名な活用方法は画像分類です。例えば、与えられた画像に対してこれはネコである、とかこれはイヌである、とか分類するものです。

もうひとつよく言われるのが、株価の分析もディープラーニングでできるようになる、というものです。果たしてこれは本当なのでしょうか。

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教師あり学習と教師なし学習

まず、背景的な知識から説明します。

ディープラーニングを含めた機械学習には教師あり学習と教師なし学習があります。

教師あり学習は、例えば画像を学習させるときにこれはイヌの画像、これはネコの画像とか人間がコンピュータに教える方法です。

一方で、教師なし学習とは、コンピュータが自ら答えを導き出す方法です。Googleがネコの概念をコンピュータが自ら学習したとニュースになったのはこちらです。

どちらもディープラーニングであり、機械学習でもあります。よく片方だけをディープラーニングと言う人もいますが、それは誤解です。

実はこの2つには大きな違いがあります。

さっくり言ってしまえば、教師あり学習の方は家庭向けのゲームマシンでもできてしまうことが多いです。あらかじめ答えが分かっているのであれば、計算量を必要としないからです。学習するデータもそこまで必要としません。よくインターネット上で素人がやってみたなど紹介しているのはこちらです。

人間に例えれば、代々伝わる対策ノートを借りて一夜漬けしてテストをしのいでしまった、というのに近いでしょうね。

一方で、教師なし学習は膨大なリソースが必要です。人間に置き換えても想像がつくと思いますが、答えのないところから新しく仮説をつくって解を導くのは容易ではありません。それこそ、一部の人でないとできないことなのです。

教師なし学習ができるのは、膨大なリソースを持つGoogle、facebook、IBMといったところでしょう。

株価を決めるものは何か

ここで株価の話に戻ります。株価を決めるものは何でしょうか?

会社の業績、外国株や為替、それだけで十分でしょうか?

ひょっとしたら、天気も関係あるかもしれません。一部の著名な人の発言で株価が上がり下がりすることもありますから、その人の心理状態も関わってくるでしょう。

と考えると、きりがないんですね。株価の問題は画像の分類とはまったく違うことに気がつきます。

画像の分類は実は簡単です。なぜなら、インプットされた画像のピクセルだけを見て判定すればよいからです。これ以外は考えなくてよいと検討すべき範囲があらかじめ決まっているわけです。

一方でさきほど説明したように株価の場合はスコープが決まっていません。もしも、何が株価を決定づけるのか分かっているのであれば、自分でアルゴリズムをつくるほうがきっと楽なはずです。株価を決める要因なんて、そんなものは誰にもわからないですよね。

仮に、あるデータを元に人工知能をつくったとしても、それを対策した技術が新しく出てくるので、また学習を見直さなければならず、イタチごっこになります。

したがって、株価の問題は教師あり学習では解決できないことがわかります。もしも、実現可能だとしても、それは教師なし学習であって、Googleやfacebookなみのリソースを持った企業だけでしょう。

まとめ

というわけで、株価の予測をディープラーニングで予測するのは世間で言われているよりも難しい、というのが私の見解です。

ディープラーニングを売りにした金融商品やサービスなどが出てくるかもしれませんが、少し疑いの目を向けたほうがいいかもしれませんね。

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